一票の格差「無効」判決を受けて

去年の衆議院選挙のいわゆる1票の格差に対する一連の裁判で、全国に起こされた16件の判決が27日までに出そろいました。
判決は「選挙無効」を言い渡した2件を含め、「憲法違反」の判断が14件に上っています。
最高裁の「違憲」判決から1年9か月あったにもかかわらず是正することなく衆議院選挙に踏み切ったのは立法府国会の怠慢と言えます。
しかし、今回の判決、特に「選挙無効」は首相の解散権を縛るものとなり、議会の提出できる内閣不信任案決議と首相の解散権の力の均衡を著しく損なうことになります。
一票の格差が2倍以上となれば首相は議会を解散することができなくなり、議会は大きな力を得て解散を恐れず内閣不信任案決議を提出することができ乱発を招く恐れがあります。
これによって国会が政局ばかりを追求し次々と首相が入れ替われば大きな混乱を招く。少々行き過ぎた判決と言えるのではないでしょうか。
また、憲法第14条に規定された法の下の平等に反する1票の重さを同じにするとの解釈からこのような判断がなされていますが、本当にそれがこの日本のためになるのでしょうか。
私の選挙区のある山梨県は今回の改正案「0増5減」により選挙区が3から2減ってしましいます。これに対しお隣の東京は選挙区が25あります。
議会はあくまでも数です。よってどちらが議会の中で力を持つことになるかは言うまでもありません。
東京で働く方々は家賃などの問題から郊外に住み片道1時間半程度のすし詰め電車に揺られ職場に向かいます。私もこの経験がありますがこれがなければもっといい仕事ができるのではと当時よく思いました。
あきらかに集中しすぎて効率が悪くなっています。
さらには東日本大震災時、東京はインフラの故障、輪番停電などにより大きな混乱を起こしました。行政、経済が集中した東京が混乱することは日本が混乱することであるということが良く分かりました。これが直撃だったらどうなるのでしょうか。
機能の極端集中は危機管理上問題があり、ある程度分散させなくてはなりません。
それ比して、地方はどうか。
私の選挙区を歩くと、ここから先三軒空家、その次の家にはおばあちゃんが一人で住んでいる。独居老人が非常に多い。仕事はなく若者は住めない。激しい高齢化と人口減少・過疎化に苦しんでいます。
以前、「地方は都会への人の供給源でしかない」と失礼なことを言った人がいましたが今はその人すら供給することができなくなっています。
地方の衰退は必ず都会の衰退にもつながる。
この選挙制度のまま整備を行っていけば都会の議員が多くなり地方は少なくなります。これは言い換えると地方の声は都会に比して届きにくくなるということです。
都会から地方に人の流れを作っていかなければならない今、この制度は明らかに逆行しているといえます。
法律には沿っているのかもしれませんが日本のためになりません。
アメリカでは上院は人口に関係なく各州2名づつ、下院は日本と同じ制度となっており、上院では一票の格差が70倍以上にもなります。
しかし、地方の声を届けるためにこの制度を採用しています。
日本も人口だけでなく行政区、面積などを考慮し地方の声がより届きやすい制度にする必要があると考えます。
憲法改正を含めた抜本的な選挙制度改革が必要です。

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